Q1 婚姻費用分担請求と養育費請求は何が違うのですか?
婚姻費用請求とは、夫婦が婚姻生活を維持するための費用(婚姻費用) を、一方配偶者に対して請求することをいいます。婚姻費用は、基礎収入の多い者(義務者)が、基礎収入の少ない者(権利者)に対して、請求します。婚姻費用の分担は、その資産、収入、その他一切の事情を考慮してその程度や内容を決められます。そのため、通常は、収入の多い夫(又は妻)が、収入の少ない妻(又は夫)に金銭を支払うことで行われます。養育費請求とは、未成熟子が社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用の支払いを、子を監護していない親に対して行うものです。婚姻費用分担請求は、夫婦が婚姻期間中におこなうものであり、養育費と妻(又は夫)の生活費を合わせた概念であり、養育費とは、妻の生活費を含むか否かの点で異なります。
婚姻費用や養育費は、実務上、調停など申し立て時から請求できることになっているため、早めに申し立てをすることをお勧めします。
Q2 弁護士から受任通知という書類が届きました。どうしたらよいのでしょうか?
受任通知が突然届くと驚かれると思いますが、いったん落ち着いてください。内容にもよりますが、すぐに相手方の弁護士の先生にお電話するのではなく、まずはしっかりと方針をきめるべく、弁護士に相談しましょう。
当事務所では、何も方針などを決めていない状態に、今後どう動くべきであるのかをアドバイスいたします。
Q3 夫が子どもを連れて出て行き、子どもと会わせてもくれません。今後どうすればよいでしょうか?
このような場合、夫のところに行き、無理矢理子どもを連れ戻すことは、子どもを紛争の中心に巻き込むことになり、場合によっては、違法な連れ去り行為であるとして、後の裁判で不利に働くことがありますので、お勧めできません。
上記のような状況の場合には、まずは、監護者指定の調停の申し立て及び子ども引き渡し調停の申し立てを行い、上記二つの調停と同時に面会交流の調停の申立てを行うことをお勧めします。
加えて、子どもが虐待の恐れがある場合などには緊急性があるため、監護者指定及び子の引き渡しの仮処分の申し立てを行うことになります。
子どもの監護を巡るトラブルは、手続きが煩雑であるため、まずは弁 護士にご相談いただき、適切な対処方法をとりましょう。
Q4 調停の申し立てをしようと思いますが、一人でもできますか?
各種調停の申し立ては、必ずしも弁護士に依頼を行わなくても行うこ とができます。
裁判所のホームページ内には、各種申し立てのフォーマットが存在す るため、そちらを印刷し、記入し、収入印紙等その他必要な書類を家庭裁判所に郵送または持参することで申し立てることができます。
また、書き方などわからない場合には、家庭裁判所に行って所定の用紙をもらい、必要書類等教えてもらい、申立を行うことができます。
調停の申し立て自体は、複雑ではないため、一人で行うことができます。また、調停の手続き自体、一人で進めていくことは可能ですが、調停の中では法律用語が使用されることもあり、調停員の方から様々な意見を聞く中で、これが正しいのか、適切な進行なのか等不安が募ってくることが多々あります。
また、調停の手続きは通常3か月から1年くらいの期間行っていきますが、長期間の間一人で進めることは精神的な負担が大きいです。
このように法律知識に不安がある方や手続きの進行に不安がある方、調停委員に対し自己の意見を述べるのが苦手な方、調停手続き自体に精神的苦痛を感じる方は、弁護士に相談し、一緒に調停に弁護士と参加することをお勧めします。
Q5 離婚を考えています。今後の流れを知りです。
離婚手続きには、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
当事者間の話し合いで離婚できなければ、家庭裁判所に離婚調停の申 し立てを行わなければなりません。調停前置主義といって、まずは調停を経なければ、裁判を起こすことは原則できません。
調停中で離婚について話し合い、離婚の合意ができなければ、裁判所に離婚訴訟を提起することになります。
弁護士は、いずれの手続きからも介在することができます。ご依頼者様の代わりに相手方と離婚について協議する場合や、調停にご依頼者様と一緒にまたはご依頼者様の代わりに調停に出席する場合があります。
このように離婚の手続きは徐々に難易度も上がっていくため、お早めに弁護士に相談することをお勧めします。
Q6 弁護士に依頼しようと思いますが、弁護士事務所がたくさんあり、誰に依頼をすべきかわかりません。弁護士を選ぶ基準はなんでしょうか。
弁護士にも専門分野があります。専門といってもお医者様のように内 科、外科のように大きく専門分野が分かれているものではなく、多くの弁護士はどのような分野でも基本的にはご相談があれば対応することができます。
しかし、その各弁護士によって、どのような分野を多く取り扱っているかは異なります。
例えば、刑事事件を一切行わない事務所や企業関係の訴訟を中心に取り扱う事務所などがあります。
やはり、多くの解決実績や取扱実績がある事務所のほうがご相談様は安心してご相談できると思います。
取り扱いが多い中でも、どのような弁護士に依頼するのがよいかについては、家事事件に関しては担当した弁護士との相性だと思います。
家事事件は、必ずしも白黒をつけるものではありません。
人の感情が大きく関与する分野であることから、その担当弁護士との相性が悪いと、夫婦の問題や子どもの問題を十分に相談することができません。
あくまでも当事務所の私見にはなりますが、ご相談をして「相性が良い」「話しやすい」と感じられる弁護士を選ぶことをおすすめします。